矯正治療のはなし

​工藤 泰裕
もくじ内のタイトルをタップすると
本文にジャンプできます

歯を抜かない矯正治療

矯正治療には二通りあります。 歯を抜く必要のない症例(非抜歯症例)と抜く必要のある症例(抜歯症例)です。前者を「抜かない矯正」として、ことさら強調しセールスポイントにしている場合がありますが、それは「抜かなくてもできる症例」であって、特別なものではありません。 言葉のトリックに騙されないように、注意しましょう。 その二つのうちの一つ目。 【症例1:歯を抜かない矯正】 16歳 女性 ◎初診時口腔内写真 歯列の凸凹は比較的多いほうです。 ◎マルチブラケット治療終了時 歯を抜かずに矯正治療しました。 特別なことではありません。診断の結果が非抜歯症例なだけです。 歯を抜かない矯正⇒歯を抜かなくてもできる矯正⇒歯を抜く必要のない矯正と理解して下さい。 二通りのうちの二つ目。 【症例2:歯を抜く矯正治療】 21歳 女性 初診時の横顔です。特徴的な横顔をしています。著しい上顎前突のため、唇は閉じずらいので普段は唇の隙間から前歯が見えています。閉じる時は、かなり努力して閉じることになるので、オトガイ部(顎の先)の皮膚は引っ張られてウメボシ状隆起(顎の先の皮膚の凸凹)が出現します。 不正咬合はバランスを欠いた時に発生します。骨格と歯の大きさや位置にアンバランスがある場合は、歯を抜いてバランスをととのえます。歯を抜かないで、この症例をどう治すというのでしょうか。 ◎初診時口腔内写真 歯列の凸凹の量は、症例1のほうが多く、こちらはむしろ少ない。 ◎マルチブラケット治療終了時 歯並びはきれいになりました。問題は顔ですが、どうなったでしょうか。 この症例は 歯を抜く矯正⇒歯を抜かないとできない矯正⇒歯を

歯を抜く矯正治療

はじめは、矯正相談です。 自分の口・歯・顎・顔について、それまで分からなかった事が分かるようになれば安心できます。気軽に相談してください。相談の内容は人それぞれです。 ・歯の凸凹が気になる。 ・過剰歯や欠損歯がある。 ・反対咬合、上顎前突、開咬など。 ・顔の外観が気になる。 このうち最後の「顔の外観」とは何をいっているのか考えてみましょう。矯正歯科では 次のふたつのことを示すことがほとんどです。 ①ひとつは横顔のバランスです。反対咬合の人は、しゃくれた顔つきで下唇が出た感じ の外観です。上顎前突の人は歯がいつも見えていて、唇が閉じずらい感じの外観です。 ②ふたつめは口元の突出感、口元のもっこりした感じの外観です。 今回は②についてお話します。 通法に従って検査・診断をします。 【初診時口腔内写真】 15歳 女性 歯列の凸凹はそれ程ありません。口腔内写真では分かりませんが、この症例の問題点は 口元もっこりの横顔です。 私の施術する、マルチブラケット治療の治療期間は1年半から2年です。進学や転勤で治 療が中断しないように、スタートの時期を決めておきましょう。 【マルチブラケット治療】 もともと歯列の凸凹が少なかったので、どこがどう治ったか分かりずらいかもしれませ ん。初診の写真に戻って見比べてください。 【頭部X線規格写真】 初診と術後 今回の症例の問題点は口元の突出感、口元のもっこりした感じの顔の外観です。レント ゲン写真で前歯の傾斜角度の違いが分かります。検証してみましょう。 初診と術後の2枚のレントゲンを重ね合わせると、何がどう動いたか分かります。これ はレントゲン写真にトレ

一本の歯が引き起こす問題

一本だけ反対咬合でも、 この一本の歯がいろいろな問題を引き起こしています。 このことについて、説明します。 まず、通法にしたがって、検査・診断をします。 本症例の治療方針は以下の通りです。 第一段階: 上顎前歯の配列による機能的障害の除去と反対咬合の改善 観  察:側方歯交換の誘導 第二段階:機能的咬合の確立 保  定:観察 第一段階は今、行います。 第二段階はあとで、 全ての永久歯が生えてから行います。 【初診時】 7歳 女子 一本の歯が引き起こす問題とは。 衝突と前方誘導の画像 ①上下の一本どうしが衝突する瞬間がある。 ②このため、歯に過剰な負担がかかる。 ③この衝突を避けるため、顎を前に出して咬む。 ④顎を前に出すと、顎関節の隙間も不必要に広がる。 という問題が発生しています。この様な状態は放置できません。 治します。 【第一段階】 改善しました。 この時点で、前歯に隙間があったり、高さがそろっていなくてもかまいません。 第一段階の目的は、前述の①~④の解消です。 観察に移行します。 【頭部エックス線規格写真】 初診時と術後 二枚のレントゲンを重ね合わせると何がどう動いたか分かります。 これはレントゲン写真にトレーシングペーパーを貼り、構造物を転写して表します。 【重ね合わせ図】 治療効果の検証 初診:実線、点線:術後 撮影時期に2ヶ月の間隔はあるも、 本症例での成長は無視できる。 イ、上の前歯を外側に傾斜させた→歯の衝突解消→歯の負担除去。 ロ、イの結果、下顎の前方誘導がなくなり、自然の位置に後退。 ハ、顎の後退は、顎関節相当部でも反映している。 上記のメカニズムで治療

過剰と不足

矯正歯科に従事していると、過剰歯、欠損歯、癒合歯、埋伏歯、形態異常など、 いろいろ経験します。問題は、個々の歯の形や数にとらわれるのではなく、 口腔全体としてどう調和させて、美しく整え、機能するかを考えることです。 今回は、そんなお話しです。 【初診時口腔内写真】 9歳 男子 上の前歯の凸凹を気にして、私のところに来院しました。 矯正相談を経て、治療を希望する場合は、検査へ進みます。 下顎歯列にマークを付けました。永久歯は数字、乳歯はアルファベットで示します。 この時点では、向かって左の B が欠損(本人の右)、右の BC が癒合歯です。 治療方針 第一段階:上顎前歯の配列 観  察:側方歯交換の誘導 第二段階:機能的咬合の確立 保  定:配列後の観察 【第一段階】 前歯がととのいました。このあとは、観察に移行します。 【観 察】 歯の生え変わり、むし歯、顎の成長など定期的に観察します。 【永久歯の萌出】 全ての永久歯が生えそろいました。 上顎歯列は凸凹の程度がつよくなりました。下顎歯列では欠損です。 BC の癒合歯が抜けたあと、2番は生えてきません。両側2番の先天欠如です。 1番の隣は3番(犬歯)です。 上下の歯列の不調和の治療をはじめます。第二段階の目的は機能的咬合の確立です。 【保 定】 マルチブラケット治療が終了しました。 動的治療期間は1年9ヶ月。 きれいな歯並び・咬み合わせの完成です。機能も向上しています。 このあとは、むし歯の治療をしながら保定に移行します。 【初診と術後の比較】 過剰歯、欠損歯、癒合歯、埋伏歯、形態異常などがあると、心配になるのが人情です。 この

最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square