矯正治療のはなし

​工藤 泰裕
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埋伏歯 ①

埋伏歯(まいふくし)と読みます。顎の骨や粘膜下に埋まっていて、生えてこれない歯 のことを言います。タイトルの埋伏歯に番号①を付けました。今後、このシリーズがあ った時の為の整理番号です。 症例 左上犬歯が生えてこないのを気にして来院しました。 通法に従い、検査・診断をします。 初診時口腔内写真 向かって右上の犬歯が(本人の左)がありません。 初診時レントゲン写真 レントゲンでは左上犬歯が確認できます。斜めになりながら、手前の前歯に引っかかっ ている感じ。 マルチブラケット治療開始、開窓・牽引(かいそう・けんいん) 動的処置終了時の写真 動的処置終了時のレントゲン写真 犬歯は歯列内に誘導できました。 埋伏歯を有する不正咬合の治療は矯正歯科認定医の領域です。 熟練と経験を要します。詳しいノウハウは省略しますが、ヒントを少々。 埋伏歯の「位置」と「方向」がポイントです。 次に示すレントゲン写真は本症例とは別の症例です。 向かって右の犬歯が埋伏しています。「位置」と「方向」はどうですか。 埋伏歯の天地が逆になっています。こうなると歯列への誘導は不可能です。 埋伏歯には様々なバリエーションがあります。折を見て紹介していく予定です。

子どもの反対咬合

反対咬合の治療時期は、早ければいいというものではありません、 しかし、遅いのも困ります。適切な時期がありますので、矯正歯科認定医に相談してく ださい。ひとつだけ覚えてほしいことがあります。 それは、小学校の高学年になると背が大きくなるのにともなって、下顎も増大する傾向 がある。という点です。放置することのないように周囲の大人は気をつけてください。 さて、 今回の症例は小児期の反対咬合です 女子、初診時年齢 9才 通法に従い、検査・診断をします。 この症例の全体像は「下顎の大きさが大きいのに加え、上顎の前歯が内側に傾斜して 反対咬合になっている」状態でした。 初診時口腔内写真 (小学3年生) 治療の原則は、原因にアプローチすることです。 この症例が反対咬合である原因は。「下顎の大きさが大きいのに加え、上顎の前歯が内 側に傾斜して反対咬合になっている」でした。したがって、下顎の成長を抑え、上顎の 前歯を傾斜させれば治ります。 次に示す写真では、反対咬合が治った段階で、前歯に隙間がありますがまったく問題あ りません。他の永久歯の生えるのを待ち観察します。 第一段階:咬み合わせの改善時 (2か月後) 一般的に反対咬合の治療計画は、途中の観察期間を挟んで二段階に分けて行います。 第一段階 時期:おおむね、小学生の成長期 歯:混合歯列期 目的:反対咬合の改善 観  察 永久歯交換の誘導、必要に応じ顎の成長のコントロール 第二段階 時期:おおむね、中学生以降の成長安定期 歯:永久歯列期 目的:機能的咬合の確立 尚、この症例は第二段階は行いませんでした。 次に示す写真は、観察期間後期の永久歯が

仕上がりを予測する・先天欠如の場合

歯の先天欠如はそれ程珍しいことではありません。(統計データは他に譲ります) 先天欠如、すなわち歯がないこと自体は問題となりません。問題は歯がないことで隣り 合う歯が傾斜したり、傾斜した結果、咬み合う歯と不良な接触が生じることがあること です。今回は、そんな話題です。 さて、次に示す写真のうち、正面の写真で、上の歯に注目してください。 中切歯(大きい前歯)が一本とその両側に側切歯(小さい前歯)2本あります。 わかりますか。右上中切歯(大きい歯)が一本ない状態、先天欠如です。 (向かって左) 初診時口腔内写真 初診時の歯の生え方は乳歯と永久歯が同居している状態、混合歯列期の時期です。 通法に従い、検査・診断をします。 この症例の全体像は、「上顎前突傾向で歯の凸凹がありながらも、右上中切歯が先天欠 如している」状態でした。 治療計画は 第一段階:永久歯交換の誘導 第二段階:機能的咬合の確立 動的処置終了時の写真 歯並び・咬み合わせをどう「仕上げる」かは、診断の時に決めておきます。 この症例は、 上顎の前歯は3本であるのに対し、下顎の前歯は4本ですので正中があわないのは想定 内です。また通常、第一小臼歯の抜歯は左右対称的に行われますが、この症例の場合は 違います。特殊な抜歯パターンを採用しています。 術後の写真をじっくり見直してください。実は、歯の先天欠如症例は以前このブログに 登場しています。 過去記事「矯正相談」を参照してください。あの症例は下顎の前歯2本が欠損していま す。この様に歯の先天欠如があっても、きちんと矯正治療をすることで審美的かつ機能 的に回復させることが出来ます。

責任を果たす。

ブログでは口腔内写真だけの掲載ですが、矯正治療の診断は口の中だけ診て判断するも のではありませんので、誤解のないようにしてください。検査資料は他にもあります が、あえて載せていません。 さて、成人の反対咬合症例です。次に示す写真を見るときは以下のことを考えながら見 てください。 ・どうやって治そうか。 ・難しいのか、簡単なのか。 初診時口腔内写真 ここまでの写真を見てきてどう感じましたか。 「前歯が数本反対だけなので、それ程難しくないんじゃないか、その歯を傾斜させれば OK 」という考え方もあるかもしれません。そこで、反対咬合の程度がどのくらいなの か、上下の歯列がどの程度ズレているのか、検証してみましょう。 写真を加工して、犬歯に青い線を入れました。 初診時 (犬歯に印付き) 上顎の犬歯に対し、下顎の犬歯がかなり前方にあります。 ちょっと視点を変えてみましょう。前歯の歯根相当部の歯肉の位置に注目してくださ い。やはり下の歯肉が前方にあることがわかります。ブログには掲載していない、他の データなどから判断して、本症例は骨格的反対咬合症例といえます。 通法に従い、検査・診断をします。下顎の第一小臼歯を抜歯が必要でした。 マルチブラケット治療を開始しました。 動的処置終了時の写真 加工した写真を使い(犬歯に青い線)、初診と術後を比べてみましょう。 初診と術後の比較 犬歯の関係が正しい状態になりました。これは下顎の第一小臼歯の抜歯スペース方向へ 犬歯を移動させたことで達成されました。犬歯が後ろに移動した後に下顎の前歯を後退 させて正しい咬み合わせをつくります。 冒頭、 「前歯が数本反

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