矯正治療のはなし

​工藤 泰裕
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埋伏歯 ④

シリーズ4回目。 埋伏歯を歯列に誘導するのも、矯正歯科の仕事です。 (まいふくし) 【初診】 中学生 女性 前歯がありません。 骨の中に埋まったままで、生えてこれない状態です。 このままでは、日常生活にいろいろ支障をきたします。 埋伏歯の誘導であっても、普通の矯正治療と同じように検査資料を採り、きちんと分析します。症例によっては、CT断層撮影が必要となることもあります。 【途中経過】 局所麻酔下で電気メスを使って歯肉の処置、必要に応じ骨を除去します。 埋伏歯に金具を接着して牽引の足掛かりとし、弱い力で少しずつ引っ張ります。 ここまで来れば、いつもの矯正治療です。 本症例の全体像は、八重歯を有する歯列の凸凹症例です。 通法に従い矯正治療を進めます。 【治療後】 埋伏歯を歯列に誘導する際には、いくつか考慮すべき点があります。 埋伏歯の位置 〃  方向 〃  形 〃  骨癒着  など。 条件によって、牽引・誘導の不可能な場合は抜歯の対象となります。 埋伏歯は個々の症例によって状態が異なります。 誘導か抜歯かの判断が難しいこともあるので、慎重な診断が必要です。 気になる方は最寄りの矯正歯科医院にご相談下さい。

成人 上下顎前突症例

重ね合わせ図は治療効果を検証するうえで、重要な情報を提供してくれます。 例えば、どう治ったか、どう治らなかったか、作用は反作用は、など目で見て分かります。術者の治療技術を如実に反映する鏡とも言えます。 上の重ね合わせ図は今回の症例です。説明はあとでします。 口の中を診てみましょう。 【初診】 30才代 女性 先ず口を閉じた状態。上下の歯列が咬み合ったときの関係「咬み合わせ」を確認します。次に口を開けた状態。歯列の凸凹の量「歯並び」を確認します。 次に、咬み合った状態のときの横顔を覗き込みます。顎顔面全体のバランスを観察します。 通法に従い、検査資料を分析します。 本症例は、小臼歯の抜歯が必要となりました。 【治療後】 動的治療期間 16カ月 装置を外した時の写真です。保定装置に置き換えて保定に移行します。 みなさんが使用する装置に関心があることは十分理解できます。 ただ、何を使うかより、どう治るかを考えてみて下さい。 私の使用する装置はマルチブラケット装置です。歯の表側に付けるタイプでワイヤー(針金)を使い、こう治します。 【治療効果の判定】 矯正治療がまぐれで治ったのでは困ります。また治療成績の精度を上げるには、なぜ成功したか、あるいはなぜ失敗したかを知る必要があります。それを知る方法が重ね合わせ図です。製作には時間がかかりますが、治療技術の確認ができ、たいへん勉強になります。 初診                    治療後 実線:初診  点線:治療後 1、上顎前歯:6.0㎜ 後退 と 3.0㎜ 圧下(※1) 2、上  唇:2.0~4.0㎜ 後退 3、下顎前歯:5.0㎜

安易な歯列拡大・部分矯正・歯を削る方法

不正咬合を治療するときは、歯と顎顔面のバランスを考える必要があります。 例えば、不正咬合の種類によっては、顔つきに特徴がでます。 下顎前突(反対咬合)は下顎前突の顔に、上顎前突(出っ歯)は上顎前突の顔に。 ここまでは何となく想像できると思います。 次は聞きなれない言葉です。 上下顎前突という症例があります。これは横顔のバランスの中で、口元が出ている感じのものを言います。 いずれにせよ、上に挙げた各症例は矯正歯科医師が検査資料を分析した結果、使われる名称です。他人の顔をぱっと見て判断してはいけません。 【初診】 17才 女性 検査資料を分析して診断をたてます。 上顎前突と歯列の凸凹を併せ持った症例です。 抜歯分析の結果は抜歯判定です。 【頭部X線規格写真】 頭部エックス線規格写真では、数値化した患者データと日本人平均値を比較し、問題点を抽出します。 上顎前歯部には鮮明に見えるのものと、さらに前方に薄く見えるものがあります。 上顎前突の程度は著しく、画像では分かりにくいですが、口元は突出して口唇閉鎖が困難です。 【治療後】 マルチブラケット装置を外しました。 初診の上顎前歯の位置は、治療によって後ろに後退しているので、口唇閉鎖は容易となっています。 横顔と口元が変化した図は、以下のタイトルに掲載しています。 クリックするとジャンプします。 39話 顔を造る 45話 歯を抜く矯正治療 48話 唇を閉じることが出来ますか 頭部エックス線規格写真は矯正治療をする上で絶対不可欠な資料です。 横顔のバランス、口元の突出度、顎の形など重要な情報を提供してくれます。 一方で、口の中だけを見て判断

複雑なものは単純にするといい

年齢が上がると歯の移動速度が遅いとか、治療期間が長くかかるとか、 そんなことはありません。とくに矯正治療が難かしくなるわけではありません。 ただ、差し歯やブリッジなどの補綴物(ほてつぶつ)があったり、歯周病になっている場合は、そちらへの対応が必要になることはあります。 私は基本的に年齢制限はないと考えています。 今回は、歯周病、補綴物、欠損歯という条件のある症例です。 【初診時】 女性 人間は一人ひとり違うように、同じ診断はなく、治療方針も個々の症例で違います。 歯周病、補綴物、欠損部位などの条件をふまえて、その時点での最善の方法を考えます。 歯列の凸凹が顕著です。 抜歯部位、スペースの処理に工夫はしますが、矯正治療をする上で、いつもとやることは変わりません。 【治療後】 動的治療期間は1年8ヶ月。保定に移行します。 歯並び・咬み合わせは改善しました。 色や形は、このあと修正すれば良いでしょう。 初診時の本症例は、歯列の凸凹が顕著で収拾がつかない状態でした。 それを治すのが、私の仕事です。 検査資料を読み解き、問題点を整理していきます。 複雑を単純に、混乱を整頓へと導きます。 成人の矯正治療が、とりわけ難かしいわけではありません。むしろ術者の指示をきちんと守ってくれるのもこの世代であり、歯磨きが良好な点も治療に有利にはたらきます。 これまで矯正治療の機会がなかった方、 今日がその機会です。 はじめるのに遅いということはありません。

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