矯正治療のはなし

​工藤 泰裕
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抜くか抜かないかの話

歯を抜く矯正治療、歯を抜かない矯正治療。 そもそも抜く抜かないはどのようにして決めるのか、説明します。 診断には精確な検査資料が必要です。 例えば、頭部エックス線規格写真(横顔のレントゲン)の撮影時に0. 数ミリでも咬み合わせにずれがあっては、そのレントゲン写真は使えません。石膏模型では、歯は当然として、顎の隅々まで精確に解剖学的構造が再現されている必要があります。当然レントゲン写真と石膏模型の咬み合わせは同じであるはずです。一般診査では症例の特徴を把握します。 頭部X線規格写真を分析する(セファロ分析)。 ①レントゲン写真にトレーシングペーパーを重ねあわせ、セロハンテープで固定する。 ②解剖学的構造をシャープペンシルでなぞり、トレーシングペーパーに転写する。 ③得られた図に、所定の法則にのっとり基準となる点をマークする。 ④各点を結ぶ角度や距離を計測し、その年齢の日本人平均値と比較する。 模型分析をする。 ①歯列の長さと幅を計測する。 ②歯槽基底(骨)の長さと幅を計測する。 ③個々の歯の大きさを計測し、かつその総和を算出する。 ④凸凹の量を算出する。 ⑤得られたデータは日本人の平均値と比較する。 抜歯分析をする。 抜歯分析はセファロ分析項目の前歯の位置(口元の突出ぐあい)と模型分析項目の凸凹の量に該当する数値から計算式で求めます。結果は数値で表されます。その他に一般診査などを参考にして総合的に抜歯・非抜歯を判断します。 こうして抜歯・非抜歯が決まります。 非抜歯判定は歯を抜かない矯正治療に、抜歯判定は歯を抜く矯正治療になります。しかしながら、何事もボーダーラインというものがあ

成人 開咬症例

奥歯は咬んでいるのに、前歯は咬んでいない、開いている。 不正咬合の一種で、開咬(かいこう)と言います。 程度の差はありますが、めずらしい症例ではありません。 子どもから大人まで、年齢に関係なく存在しますが、あなたは大丈夫ですか。 原因は種々ありますが、治療にあたっては正確な診断が必要です。 【初診時】 女性 34歳 検査・診断を経て、マルチブラッケト治療をはじめます。 普通にやって治る症例と普通にやっていては治らない症例があります。 本症例は後者です。難しい症例こそ、基本に忠実な治療が必要ですが、 テクニックのちょっとした匙加減が治療成績に影響するので、そのことを分かっていないと、こういう症例は治りません。 【治療後】 治りました。 治療期間は16カ月。 矯正装置を付けても、自動的に歯並びは治っていきません。定期的に装置を調整します。また、症例によっては本人の協力が必要となります。本症例では、ある時期、顎間ゴム(矯正用の小さな輪ゴム)の使用を命じています。顎間ゴムは自分で取り外しが出来るぶん、使う使わないは本人にゆだねられます。指示どおり使って下さい。 近年、アンカースクリューが、よく使用されているようですが、基本的な知識と術式が不要になったわけではありません。当然、本症例では使用していません。 日本矯正歯科学会認定医は全国で約3,000人います。これは歯科医師全体の3%にすぎません。資格取得までのハードルが高いので、その道を志す歯科医師が少ないということの表れです。いっぽうで、セミナーなどを受講しただけの歯科医師が矯正治療をしているという現実があります。良質な矯正治療を受ける

大人の矯正治療

ここ最近、当医院では40才以上の女性の矯正相談が増えています。 子育てが少し落ち着いた。 今まで気になってはいたけれど、矯正治療の機会がなかった。 理由は人それぞれでしょうが、ようやく矯正歯科医院にたどり着きました。 矯正相談では現在の状態、治療方法、治療効果などひと通りの説明をします。 矯正治療は子どもだけのものではありません。大人も積極的に矯正治療をする時代です。 【初診時】 この方は、二人の中学生をもつ主婦です。初診時の年令は36才。 今まで気になっていた歯並びを、ようやく治すことにしました。 このブログでは、矯正治療上の技術的な解説はあまりしていません。装置の写真、途中経過の写真もありません。この点において、歯科関係者は物足りなさを感じるかもしれません。 装置の製作方法や針金の曲げ方、歯を移動させるテクニックなどは術者側の問題であって、患者さんにとってはどうでもいいことで、ご本人の関心事はもっぱら自分の歯・顎・顔が治るのか治らないのか、治った場合どう治るのかにあると、私は考えています。 【治療後】 治りました。 私が施術するマルチブラケット治療の治療期間は、18ヶ月から24ヶ月です。 写真はマルチブラケット装置を外し、保定に移行した時のものです。撮影の都合上、保定装置を外していますが、当面の間は装着します。 歯並び・咬み合わせが悪い場合のデメリットはいろいろいわれていますが、ひとつだけ私の経験を紹介します。 はじめに、本症例とは関係がないことを、ことわっておきます。 一般歯科からの紹介で当医院に来院した成人の患者様です。拝見したところ、上下歯列の凸凹が顕著で、右下の二番

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