矯正治療のはなし

​工藤 泰裕
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平成特集

「矯正治療のはなし」をはじめてから一年が過ぎました。週一回の投稿を続け59話目になります。代替わりの節目に「平成特集」と題して、1話から58話までのタイトルと代表的画像を、ひとつのページに掲載しました。ページをまたぐことなく一挙に閲覧できるので、目次としても利用できます。ご自分の興味のあるものがあれば、タイトル本体のページに行って、解説をご覧ください。 1・2話 上顎前突症1、2 【術前】 【術後】 3・4・5話 民間療法1~3 【術前】 【術後】 6話 乳歯の早期喪失 【術前】 【術後】 7話 矯正用の小さなゴム 【術前】 【術後】 8話 治療後のイメージを考える 【術前】 【術後】 9話 スペースの有効利用 【術前】 【術後】 10話 矯正相談 【術前】 【術後】 11話 凸凹のタイプも色々 【術前】 【術後】 12話 あえて、言います 【術前】 【術後】 13話 横顔のバランス 【術前】 【術後】 14話 アンバランスからバランスへ 【術前】 【術後】 15話 反対咬合の分類 【術前】 【反対咬合の改善】 【術後】 16話 歯を抜かずに矯正できる例 症例1 【術前】 【術後】 症例2 【術前】 【術後】 17話 木を見て森を見ず 【術前】 【術後】 18話 矯正治療をする・しない 【術前】 【術後】 19話 責任を果たす 【術前】 【術後】 20話 仕上がりを予測する・先天欠如の場合 【術前】 【術後】 21話 子どもの反対咬合 【術前】 【反対咬合の改善】 【永久歯の萌出】 22話 埋伏歯① 【術前】 【術後】 23話 反対咬合の怖い話 【術前】 【反対咬合の改善】 【

矯正治療という名の誤解

成人女性、歯並びを気にして来院されました。 【初診時】 矯正治療の技術を持たない場合、向かって左上の二番目の前歯を抜いて(本人の右)、その両隣の歯を細く削り、連続した差し歯、いわゆるブリッジを入れる方法をとるかもしれません。色・形を統一するとして、犬歯から犬歯の合計5本の歯を削ることを要求されることもあり得ます。恐ろしい限りです。 矯正歯科では歯の凸凹のみならず、その人の横顔、口元の突出度など顎顔面全体像を考えます。したがって、上記の様にブリッジを入れたとしても、全体の中の一部の変化にすぎず、根本的な解決にはなりません。まして天然歯を複数本削って被せ物を入れた場合、人工物はいずれ交換の可能性があり、その意味で一時しのぎの方法と言えす。 最近、この様な差し歯やブリッジなどによる、凸凹の解決方法を「矯正」と呼んでいるのを見聞きします。材料にセラミックを使用するので、セラミック矯正とネーミングしています。注意したほうがいいでしょう。 矯正治療で治します。 【術後】 各歯科医院ではホームページで情報を発信しています。 ルールとモラルに照らし合わせて広告するのは結構ですが、誇張や誤解を招く表現は困ります。前出のセラミック矯正など、その典型例です。差し歯やブリッジなどの補綴物(ほてつぶつ)による治療を矯正治療と呼ぶのは、ホームページを見る人に誤解を与えます。これは補綴治療(ほてつちりょう)と呼ぶもので、矯正治療とは異なるものです。まあ、そう呼んだ方がセールス上いいという事でしょう。 また、「はやい」とか、「痛くない」とか、「抜かない」などの表現も散見します。 私の施術する矯正治療は以下の通

大人だから矯正治療

きっかけがなかった。 かといって、もう年だから矯正治療には、なかなか踏み出せない。 いいえ、大人だからこそ矯正治療をして、美しさと健康を手に入れるのです。 今はそんな時代です。 何もしないのも自分、行動するのも自分。決めるのも自分です。 先ず矯正相談をして、やるやらないを考えるのはそれからで十分です。 【初診時】 成人 女性。 著しい上顎前突です。 彼女は矯正治療をすることにしました。 矯正相談の日はお話だけです。現在の問題点や今後の予測などを説明します。 後日、やる場合は検査の予約を、やらない場合はそのままで結構です。 【治療後】 どんな症例でも動的治療期間はおおむね1年半から2年です。きれいになったら、装置を外して保定に移行します。下の写真は撮影の都合上、保定装置を外していますが、普段は装着しています。保定装置は目立たない設計なので安心して下さい。 かなりの出っ歯でしたが、今ではその面影は全然ありません。前歯が後退したことで口唇の閉鎖が容易になり、同時に口元のもっこりした感じがなくなりました。 あのまま何もしない選択肢もありましたが、この女性は矯正治療をすることで、きれいな歯並び・咬み合わせ、美しい横顔を手に入れました。 最近、当医院では40~50才代の女性の患者様が矯正治療をするケースが少しづつではありますが増えています。彼女たちにも、迷いがあったことでしょう。 私は、その決断に応えるため丁寧な治療で対応します。 やるやらないを決めるのはあなたです。

埋伏歯 ③

最初にレントゲン写真を示します。 パッと見てどこに違和感を感じますか。 そうです。向かって左上の犬歯が引っかかって生えてこれない状態ですね。 (本人の右上) 次に、同じレントゲン写真に番号を付けました。 もう一度質問します。どこに違和感を感じますか。 向かって右の犬歯がありません。先天欠如です。 (本人の左上) 同時期の口腔内写真を以下に示します。 いつも通り、検査資料を採ります。資料をきちんと分析して診断をたてます。 【マルチブラケット治療終了時】 上下に装置を付けて治療しました。 本症例は、はじめから歯列の凸凹が少なかったので、あまり治った感じがしません。 しかしながら、見える凸凹は少ないですが、見えない凸凹が上顎骨の内にあったと考えて下さい。 【比較】 初診時                  術後 初診時の方が左右対称ですっきりしていますが、そこには見えない凸凹が隠されていることを忘れないでください。 犬歯の形はとんがった頭がひとつ、一咬頭です。小臼歯は二咬頭です。犬歯の位置に小臼歯があると下顎歯列との関係、とくに顎運動時に上顎小臼歯の内側の咬頭が下顎の歯と不良に干渉する可能性があります。診査の上、必要に応じて咬合調整を行います。 矯正歯科医院では様々な症例を扱いますが、ひとつとして簡単な症例はありません。不正咬合はバランスを欠いた時に発生します。従って治療の過程はアンバランスからバランスへの道のりと言えます。到達地点は美しく機能的な歯並び・咬み合わせときれいな顔貌です。

早ければいいというものではない

歯列は次の三つの段階を経て成長します。 乳歯列(期)→混合歯列(期)→永久歯列(期)。 不正咬合があったとしても、乳歯列期での治療の必要性は高くありません。混合歯列期まで定期的に観察するだけで良いでしょう。 【初診時】 本症例は混合歯列期の反対咬合症例です。 【第一段階】 反対咬合の改善。中切歯を移動させました。 (ちゅうせっし) 治療の原則は、原因にアプローチすることです。歯性の反対咬合なのか、骨格性の反対咬合なのかで治療のしかたが違います。検査資料を分析して、正確に診断する必要があります。 装置を外して、観察に移行します。 【側切歯の萌出】 側切歯が生えましたが反対咬合です。治します。 (そくせっし) 【側切歯の改善】 これで、ひと安心です。顎の成長や永久歯の生え変わりを観察していきます。 【永久歯の萌出】 永久歯列になりました。 この時点で、もう一度、検査資料を採り診断して治療方針をたてます。 マルチブラケット治療を始めます。 【第二段階】 (正面画像なし) 歯に矯正力を加えると歯は移動します。それは歯根周囲の歯槽骨が吸収と再生を繰り返すことでなされます。この生理的な組織変成には一定の時間がかかります。こちらの都合でどうにかなる種類のものではありません。また矯正力は強すぎてはいけないし、弱すぎてもいけません、適切な荷重があります。患者さんの年齢や歯の種類などを考慮して調整します。 私はマルチブラケット治療の治療期間を1年6ヵ月から2年に設定しています。1年くらいで治りそうな場合は、意図的に移動速度を調整しこの範囲に収めるようにします。治療期間は早ければいいというものではな

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