混合歯列期 歯列に凸凹のある症例

歯列に凸凹がある症例をふたつ紹介します。

【症例1】                【症例2】

歯肉の上の方がもっこりしているのが分かるでしょうか。

触診すると犬歯の存在を指に感じとることができます。

犬歯の生える隙間がない状態です。

例えば、この様な状態をみて、顎が狭いと言い出す歯科医師がいるかもしれません。

私はそうは思いません。実際にノギスで計測してみると、顎のサイズは平均的な大きさであるのに対し、一本一本の歯のサイズが大きかった。

結果的に歯のサイズの総和が大きくなり、顎におさまらず凸凹になっているというのが本当のところです。

ですから、凸凹があるからといって、すぐに拡大装置を使うのは短絡的で間違いです。

詳しく診ていきましょう。

【症例1】

初診 11才 男子

乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に相当します。

見た目の凸凹感は強いですが、前述したように顎は狭くありません。

従ってこの時点で積極的な矯正治療をする必要はありません。

当面は永久歯の生えかわりを待ちます。たぶん犬歯は八重歯になるでしょう。

左右の写真を参照してください。

小臼歯から大臼歯まで上下の歯はきちんと咬んでいます。

狭さは見当たりません。

【観察中】

13才

犬歯が想定どおり八重歯になりました。

もう一度確認します。

小臼歯から大臼歯にかけてきちんと咬んでおり、顎の狭さはありません。

検査資料を分析して診断をたてます。

抜歯分析は抜歯判定です。マルチブラケット治療をはじめます。

【治療後】

治療期間 19ヶ月 装置を外した時の写真です。

保定に移行します。

上下顎の小臼歯関係、大臼歯関係を保ったまま歯列の凸凹が解消されています。

ここ重要です。

【症例2】

初診 10才 男子

歯肉の上の方がもっこりしている部分に犬歯が隠れています。

やはり犬歯の生える隙間はありません。

症例1と同様に模型分析の結果、顎は狭くありません。歯のサイズが大きいのです。

当然、歯列拡大など、必要のない矯正治療をする必要はありません。

全ての永久歯の生えるのを待ちます。

【観察中】

12才

予定どおり八重歯になりました。

マルチブラケット治療を始めます。

【治療後】

治療期間 22か月

矯正治療で重要なことは、上下顎の臼歯関係を正しい状態にして仕上げることです。

例えば、歯列に凸凹があるからといって、むやみに拡大装置を使うと歯列全体が外側に傾斜してしまい、上下顎の小臼・大臼歯関係がズレてしまうのでダメです。

また、歯の傾斜は歯槽骨に対する歯の植立の不安定化、口元の突出、舌圧と頬圧・口唇圧との中立地帯から離脱など弊害を生みます。とくに、上顎急速拡大装置の過剰使用では顔面の扁平化を発生させます。

抜歯を回避する目的で狭くない顎を拡大すると大きな代償を払うことになります。

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