正しい診断ができない理由

犬歯が飛び出ているとうい点で、八重歯の症例に見えます。

でも、普通の八重歯とはチョット違う感じもします。

みなさんは、どう考えるでしょうか。

正面と横からの画像を見てみましょう。

【初診】

     ※用語   歯 冠(しかん)   :歯の頭

           歯 根(しこん)   :歯の根

           中切歯(ちゅうせっし):1番目の上顎前歯、略称は1番

           側切歯(そくせっし) :2番目の上顎前歯、略称は2番

私が違和感をおぼえたのは、犬歯の角度と位置です。

通常の八重歯は、あくまでも犬歯相当部の上方に位置しています。

本症例の犬歯は、歯冠が1番と2番の間に位置していること、

そして歯根は1番の方向に斜めにある様に見えます。

【途中経過】

残っていた乳犬歯を抜歯して、そこに向かって移動を開始します。

歯冠はある程度移動したものの、歯根の移動は少なく、歯槽骨が薄くなり歯肉の状態も良くありません。これ以上の移動を断念しました。

そこで、側切歯を横に移動させ、犬歯を下ろすことにしました。

犬歯の歯根の方向を考えると、この方が自然な位置どりです。

【治療後】

術者が症例に向き合うとき、その症例のおよその傾向をつかみ、どのカテゴリーに分類されるか考えます。この時、先入観が強すぎてはいけません。思い込みは思考の柔軟性を失わせ、誤診の芽を生むからです。

例えば、不正咬合には様々の成り立ちがあるにもかかわらず、

一部の歯科医師は、不正咬合の原因は顎の狭さにあると信じています。

この前提があると、症例のどこかに狭さを見つけようとする心理が働きます。

狭さの理由に利用されるのが、歯列の凸凹やレントゲン写真上での永久歯の配列状態などです。妄信的な思い込みは誤診を生みます。診断ではなく、こじつけによって、本来狭くない顎に対し、急速拡大装置を入れるという間違った治療に発展していくのです。

矯正治療にあたる歯科医師は、科学的な根拠に基づいた正しい診断をしなければなりません。

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