唇を閉じることが出来ますか。

上顎前突症例 成人 女性

【初診時側貌】

横顔です。

著しい上顎前突のため、唇が閉じずらいので普段は唇の隙間から前歯が見えています。

唇を閉じる時は、かなり努力して閉じることになるので、顔の皮膚は引っ張られてオトガイ部(下顎の先)にウメボシ状隆起(皮膚の凸凹)ができます。

図は頭部X線規格写真をトレースしたものです。

【口唇閉鎖不全】

口唇の閉鎖を命じても、歯が見えてしまう。

【初診時口腔内写真】

次は口腔内です。

口腔内写真では、著しい上顎前突の感じが伝わりません。

それは骨格、横顔、唇、皮膚などの情報が口腔内だけでは読み取れないからです。

このことは、口の中だけでを診て診断をしてはいけないという示唆でもあります。

診断の結果、上顎の第一小臼歯の抜歯が必要です。

【マルチブラケット治療終了時】

治療期間は1年6ヶ月。

【頭部X線規格写真】

初診と術後

口腔の白い塊は銀歯などの金属が重なって写っている像です。異常ではありません。

術前術後の頭部X線規格写真を重ね合わせると、何がどう動いたか分かります。これはレントゲン写真にトレーシングペーパーを貼り、歯、骨、軟組織などを写し取って比較します。

【重ね合わせ図】

初診:実践 術後:点線

上顎前歯を後退させる際に重要なことがあります。

それは歯の移動の仕方が傾斜移動か平行移動かとういう点です。

歯根を支点に歯がお辞儀するように傾斜しただけの移動はダメ。

本症例の場合、理想的な移動様式は、歯根も歯冠も同時に平行に移動させること、さらに根尖方向に歯を埋める方向に移動させることが要求されます。重ね合わせ図でそれが確認できます。

図をよく見てください。前歯が後退するとオトガイ部の緊張は解消します。皮膚は自然な丸みを帯びることで横顔が綺麗になりました。

【口唇の比較】

唇が閉じられるようになり、その形も美しくなりました。

【口腔内の比較】

分かりやすいように、犬歯に印を入れました。

初診

術後

歯を抜く目的は隙間の確保です。第一小臼歯の抜歯で約8㎜の隙間が確保できます(両側で16㎜)。このスペースは凸凹の解消と前歯の後退のために利用します。

上顎前突の程度が著しい場合、隙間を最大限利用して前歯を後退させる必要があります。もしこの隙間がいつのまにか閉じてしまったら、前歯を後ろに移動させるどころではありせん。ところがこの様なことは、術式に不備があると容易に起こり得る現象なのです。

私は片側8㎜の隙間に対し、臼歯部のロスを最小限にとどめ、前歯部を最大限後退させるよう技術を尽くします。そして青い線を付けた犬歯は十分後退し、前歯の後退量を確保しました。

術者に要求されることは「移動させたい歯と移動させたくない歯」を制御する技術です。治らないのは最悪です。広告に騙されないように慎重な歯科医院選びをして下さい。

                (インプラントアンカーは使用していません)

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