一本の歯が引き起こす問題

一本だけ反対咬合でも、

この一本の歯がいろいろな問題を引き起こしています。

このことについて、説明します。

まず、通法にしたがって、検査・診断をします。

本症例の治療方針は以下の通りです。

第一段階:

上顎前歯の配列による機能的障害の除去と反対咬合の改善

観  察:側方歯交換の誘導

第二段階:機能的咬合の確立

保  定:観察

第一段階は今、行います。

第二段階はあとで、

全ての永久歯が生えてから行います。

【初診時】

7歳 女子

一本の歯が引き起こす問題とは。

衝突と前方誘導の画像

①上下の一本どうしが衝突する瞬間がある。 

②このため、歯に過剰な負担がかかる。

③この衝突を避けるため、顎を前に出して咬む。

④顎を前に出すと、顎関節の隙間も不必要に広がる。

という問題が発生しています。この様な状態は放置できません。

治します。

【第一段階】

改善しました。

この時点で、前歯に隙間があったり、高さがそろっていなくてもかまいません。

第一段階の目的は、前述の①~④の解消です。

観察に移行します。

【頭部エックス線規格写真】

初診時と術後

二枚のレントゲンを重ね合わせると何がどう動いたか分かります。

これはレントゲン写真にトレーシングペーパーを貼り、構造物を転写して表します。

【重ね合わせ図】

治療効果の検証

 初診:実線、点線:術後

撮影時期に2ヶ月の間隔はあるも、

本症例での成長は無視できる。

イ、上の前歯を外側に傾斜させた→歯の衝突解消→歯の負担除去。

ロ、イの結果、下顎の前方誘導がなくなり、自然の位置に後退。

ハ、顎の後退は、顎関節相当部でも反映している。

上記のメカニズムで治療は達成されました。

下顎の前方誘導がなくなったことで、下顎は本来の位置まで後退し、

顎関節も安定しました。

正常な成長発育の軌道に乗せることに成功したと言えるでしょう。

もし、一本の歯を放置すると、下顎の前方誘導は関節窩と下顎頭(※1)

の関係にまで波及し、下顎頭の成長に影響します。

本症例のような機能的反対咬合であっても、

骨格的反対咬合に移行することがあります。

反対咬合は適切時期に適切な治療が必要です。

放置することのないようにして下さい。

(※1)顎関節を構成する各部の名称

関節窩(かんせつか):頭蓋骨側頭部にある、顎関節の凹部

下顎頭(かがくとう):下顎骨にある、顎関節の凸部

一連の写真でみられる上顎前歯部歯肉の貧血状態は、上唇小帯が引っ張られて生じた

現象で特に問題となりません。

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