この症例を診断して下さい。

September 28, 2018

私と一緒に、この症例について考えてみましょう。

 

前回の「みにくいアヒルの子」では上の前歯の隙間について説明しました。

 

本症例も前歯に隙間があり、同じくアグリーダックリングステージです。

 

でも、よく見てください。問題点は別にあります、写真を見て考えてみましょう。

 

【初診時口腔内写真】

 

初診時年齢 8歳 男子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

そうです、反対咬合です。不正咬合のうち、反対咬合は注意を要します。

 

時期を間違うと、治療が困難になるからです。そして、何より診断が重要です。

 

反対咬合は次のタイプに分類されます。

 

①歯性の反対咬合:歯の傾斜角度が、たまたま反対。

 

②骨格性の反対咬合:上顎骨・下顎骨、そのものが反対。

 

③機能的な反対咬合:一部の歯の接触を避け、顎を前に出す。

 

④これらが組み合わさったもの

 

検査資料のうち、重要なものに頭部エックス線規格写真があります。


これは、一定の規格、一定の条件で撮った横顔のレントゲン写真です。

 

【頭部エックス線規格写真】セファロ写真とも言う。

 

本症例の初診時、前歯が反対咬合です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮っただけではダメ、分析が必要です(セファロ分析)。

 

レントゲン写真にトレーシングペーパーを貼り、解剖学的構造を転写します。

 

これは手作業で熟練を要します。転写した構造のうち基準となるランドマークを

 

コンピューターに入力し、距離計測、角度計測など行い実測値、平均値、標準偏差を算

 

出します。数値以外には、横顔の模式図を出力します。

 

【セファロ分析のプロフィログラム】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒:平均値 赤:本人

 

 

上の図は、本症例の初診時のものです。同年齢の平均値と重ね合わせました。

 

通常、この図だけで診断をすることはありませんが、今日は特別です。

 

あなたが矯正歯科の専門医になったつもりで考えてみてください。

 

本症例の反対咬合の原因は何でしょうか。

 

次のうち一つ選んでください。

 

①歯性の反対咬合:歯の傾斜角度が、たまたま反対。

 

②骨格性の反対咬合:上顎骨・下顎骨、そのものが反対。

 

③機能的な反対咬合:一部の歯の接触を避け、顎を前に出す。

 

④これらが組み合わさったもの

 

さて、あなた何番を選びましたか。

 

正解は後ほど、もう少し一緒に考えていきましょう。

 

【反対咬合の改善】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                    

第一段階の目標である咬み合わせは改善されました。

 

この時点で、前歯が開いていることはなんら問題ありません。観察に移行します。

 

永久歯の生え変わりを待って、第二段階の時に再検討します。

 

 

【治療前後のレントゲン写真】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

術前 と 術後      

 

前歯の関係を見れば区別がつきます。どう治ったのかを知ることは非常に大切です。

 

改善のメカニズムを検証してみます。それは、術前術後のレントゲン写真を重ね合わせ

 

ることでわかります。しかし、レントゲン写真そのものを重ね合わせても複雑で分かり

 

にくいので、トレーシングペーパーに転写して重ね合わせます。

 

【重ね合わせ図】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        実線:初診時 点線:反対咬合改善時

 

ひとつずつ見てみましょう。

 

前頭部:点線は 0,5㎜ 外側

 

上顎骨:    2,5㎜ 外側 

 

下顎骨     1,5㎜ 内側 

 

実線と点線には6ヶ月の差があります。成長期の子供は経時的に大きくなりますから、

 

実線の外側に点線が均等に位置するはずです。でも、そうはなっていません。

 

これが、使用した矯正装置の治療効果です。

 

反対咬合改善のメカニズムを整理します。

 

ア、上顎骨の前方成長の促進

イ、下顎骨の後退

(ウ)上顎前歯の唇側傾斜と下顎前歯の舌側傾斜

 

治療の原則は原因にアプローチすることです。

 

私は矯正装置を、ア・イに作用するように設計しました。このことが分かれば先ほど保

 

留したままでいた答えが出ます。正解は、②骨格性の反対咬合です。

 

ちなみに、(ウ)は被蓋改善後に生じる二次的な現象です。

 

ここまで私と一緒に、本症例について考えてきました。矯正治療では診断がいかに重要

 

であるか分かっていただけたでしょうか。あなたが、あなたの子供が矯正治療を受けよ

 

うとするとき、はじめは矯正相談、同意を得たならば検査、その後、診断と進んでいく

 

はずです。診断の日には丁寧な説明があります。分からなければ質問して下さい。

 

ただ、担当医が日本矯正歯科学会認定医の資格を有していな場合、資料に基ずく客観的

 

な説明をするスキルがありません。診断も曖昧なものとなります。


歯科医院選びは慎重にする必要があります。

 

 

 

 

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