17話 木を見て森を見ず

矯正治療をするうえで、歯の凸凹の量が多いか少ないかは重要な問題ではありますが、凸凹の量だけが、抜歯・非抜歯(ばっし・ひばっし)を決める要因にはなりません。言い換えれば、凸凹がなくても抜歯するケースがあります。今回はそんな、おはなしをします。

はじめに2症例の初診の写真を示します。

見るポイントは、「凸凹が少ない」ところです。


症例1 初診時


























症例2

























初めに、タネあかしをします。症例1は前回のブログ「歯を抜かずに治療できる例」の症例1と同じものです。症例1,2とも、凸凹が少ないという点で共通しています。しかしながら、症例1は非抜歯、症例2は抜歯が必要でした。その差はなにか。


当ブログの読者には、もうおわかりでしょう。矯正治療では歯・歯列・筋肉・横顔などの全体的なバランスが重要でしたね。両者の横顔はタイプは対照的でした。症例1はスッキリしてバランスがとれていました。症例2は口元が突出していました。したがって、症例2では口元を今より後退させる必要から抜歯の判断となります。


症例1 動的処置終了時


























症例2 動的処置終了時


























例えば、症例2を非抜歯で治療したとしましょう(まあ、それ自体難しい技術なのですが)。

前歯の後退量が得られないので治療効果は薄いものとなることでしょう。


さて、もうひとつ見るポイントを指摘します。症例2の初診の左右写真で、最後方臼歯の角度に注目してください。傾斜しているのがおわかりでしょうか。一般歯科でもたまにみられる症状です。矯正治療によって改善されています。大臼歯の角度を修正するのは大変なんですが、ともあれ治りました。このブログでは口腔内写真のみ掲載していますが、実際には、正面側面の顔貌写真、口腔模型(口の型)、各種レントゲン、その他診査資料があります。矯正歯科に不慣れな先生は、口腔模型を見て凸凹の量、歯の傾斜、ねじれ等、目に見える現実について盛んに議論する傾向があります。


「木を見て森を見ず」


診断は総合的に検証して判断されるものです。今回の取り上げた症例は正しい診断の結果、2症例とも機能的で美しい歯並び・咬み合わせと綺麗な顔貌を獲得しました。

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