top of page

6話 乳歯の早期喪失

この症例のどこが悪いのでしょうか。正面の写真では悪いところは見当たりません。
































歯列の発達過程は次の三つの段階を経ます。


乳歯列期→混合歯列期→永久歯列期

本症例は混合歯列期と考えてください。本来、歯のない部分は乳歯が存在していなければなりません。この状態は、乳歯が重度のむし歯などで保存できなかったものと推測さ れます。歯・歯列はお互い咬みあい、隣り合っていなければなりません。

写真の様な状態が放置されると、今ある永久歯が伸びてきたり、傾斜したり歯列の崩壊 をまねきます。これから生えてくる永久歯の隙間不足になれば、不正咬合を誘発するこ とでしょう。そこで、対策をします。

初診時の左右写真をよく見てください。

奥歯(第一大臼歯)に銀色の部品が見えますね。

これは保隙装置(ほげきそうち)の一部が見えている状態です。

歯の裏側に1mmのワイヤーを添わせ、今見えている銀色の部品と連結します。

左右の臼歯は連結されているので移動する心配がなくなりました。

定期的に観察し永久歯の萌出(ほうしゅつ)を誘導します。

                                              






                                              










                                              

                                              









本症例は来院のタイミング良かったので、予測される不正咬合を予防できました。

本格的な矯正治療をすることなく、後続する永久歯の誘導はきちんとおこなわれ、審美的かつ機能的な状態を獲得できました。

矯正歯科学は人間の成長発育に介入することができます。

しかし根拠のない介入は暴力にもなります。治療は慎重に行わなければなりません。

今回は乳歯から永久歯にかわる過程で、乳歯の早期喪失の例を示しました。

本症例のように極端でなくても、むし歯で乳歯の歯冠(しかん)の幅が小さくなれば、隣接する歯の移動があったり、これから生えてくる永久歯の萌出障害をおこす可能性があります。

やはり日頃から、むし歯予防などの口腔管理が大切であることがわかります。


最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
bottom of page