40話 埋伏歯 ②
- hd2010life
- 2018年12月10日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年11月11日
過去記事に埋伏歯①があります、今回は②です。あなたは、この症例をどう考えますか、一緒に診ていきましょう。
【初診時口腔内写真】
17歳 女子

正面に歯が縦にふたつあります。過剰歯でしょうか。それと、前歯の形が左右で違います。

向かって右の前歯(本人の左)の先端はやむをえず削ったのでしょう。向かって左上の第二小臼歯が90度回転しています。


左右の犬歯の位置にある歯は、犬歯ではなく第一小臼歯です。では犬歯はどこに、先天欠如か、埋伏か。それに反対咬合の傾向があります。

【初診時レントゲン写真】

レントゲン画像で分かりました、両側の犬歯の埋伏です。埋伏歯を診るときのポイントは、位置と角度です。この犬歯の状態では、本来の位置に復帰するのは不可能。ただ、歯列への誘導は出来ると判断しました。前歯の歯根が埋伏犬歯の接近によって吸収されています。
その他の資料やセファロ分析などから診断をします。
前歯は動揺が著しいことから抜歯、同部位に犬歯を誘導します。全体としては反対咬合傾向があり、下顎第一小臼歯の抜歯が必要です。
【途中経過】


前歯を抜歯、犬歯の誘導中。
【マルチブラケット治療終了時】


前歯の位置に犬歯を誘導し機能させます。向かって左の第二小臼歯の回転も修正しています。


下顎第一小臼歯を抜歯、全体的な治療をしています。

【レントゲン写真の比較】
初診時

前歯を抜歯、犬歯の誘導

改善時

【初診と治療後の比較】


矯正治療を施術するにあたり、大切なのは症例の全体像と患者様の将来を考えることです。本症例はあくまでも反対咬合症例と捉えるべきでしょう。(見た目は反対咬合ではありませんが本質的にはその傾向があります。専門的になりすぎるので説明は省きます)埋伏歯は全体の一部であり、口腔機能全体をどう治すか。どう治せば患者様の将来のためになるか。
矯正治療にあたる歯科医師は常にそのことを考えておかなければなりません。
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