矯正治療のはなし

​日本矯正歯科学会認定医  工藤 泰裕
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2019/12/02

矯正治療の時、個々の歯があっちに行ったり、こっちに来たりと好き勝手に動いたのでは、治る歯並びも治りません。

そこで、移動してほしい歯と移動してほしくない歯を決めて、それぞれを制御する必要があります。いま、前者を移動部、後者を固定部と呼んでおきます。

ここで例え話をひとつ。

公園の池に浮かぶ手漕ぎボートを想像してほしい。水の流れは無く、無風です。

ボートAとボートBは一定の距離をおいて離れており、それぞれ一人乗っている。

この両者に綱引きをしてもらう(オールは持っていない)。

湖上の綱引。

両者は等しく移動し接近するはずです。AとB双方が移動部とい...

2019/11/25

歯列の両側は頬っぺた、前方には唇がある。内側は舌です。

いづれも筋肉のかたまりであり、歯列は常に内から外からの圧力にさらされています。

これに咬合力が加わります。

この様な環境にあって、歯列はなるべく居心地のいいところ、すなわち、力の中立地帯、ニュートラルゾーンに位置どりしようとします。歯列はこうしたバランスの中に存在しているのです。

では、バランスが崩れるとどうなるか考えてみましょう。

一本の歯が後天的に失われたケースを示します。

【初診】

15才 男性

なぜ前歯を抜いたのか、それ以前はどういう歯並びであったかは不明です。

抜いた後、徐々にずれてき...

2019/11/18

「今の子どもは柔らかいものを食べているから顎が発達しない。だから凸凹がある」

はたして本当でしょうか。

凸凹の原因が柔らかい食事による顎の未発達であるとするのは早計ではないのか。

     早計(そうけい)とは「早まった考え」「軽率な考え」を表す言葉 

なぜ、軽率な考えか。

①今の子ども

今どきの子とか、今の若いものは云々などは使い古された日常語。

今とはいつで、どの年齢を指しているるか漠然としていてわからない。

②柔らかいものを食べている

日本の普通の家庭の食卓には、何やら柔らかい物が上がっているのだろうか。

意味不明。

③顎が発達しない

まず、発達を定...

2019/11/05

何年にも渡って装置を使用しているけど改善が見られない。

という話しをたまに聞きますが、いつ治るかわからないようでは困ります。

ではなぜこの様なことが起きるのか考えてみましょう。

不正咬合には様々な種類があります。同じような症例であっても、その原因はそれぞれ違います。従って、正確な診断をして、症状に見合う装置を選び、その都度調整する必要があります。もしここにミスマッチや調整不良があれば、残念ながら治りません。

指示通り一生懸命に使っても、治るはずがないのです。

これが答えです。

私には治す責任があるので、使用する装置には慎重になります。当然のこと...

2019/10/15

叢生症例(そうせい~)。叢生とは歯列に凸凹がある状態を表します。

初診時の横顔のシルエットです。

頭部エックス線規格写真をトレースしました。

私たちが普段見ている家族や友人の顔は、顔の外観の軟組織を見ています。

私は人の顔を見たとき、その人の骨格や歯の状態を想像します。

顔の軟組織は骨と歯の裏打ちがあって形作られています。言い方を変えれば骨と歯の上に軟組織がのっかています(下図)。

この時の、歯の状態です。


口は顔全体の一部であるので、歯並び・嚙み合わせを治すときは、このことを考慮する必要があります。

同じ図に、「78話 抜くか抜かないかの話2」...

2019/09/09

顔は知っているけど名前が出てこない。なんてことがあります。

例えば、私の場合。

痩せていて、眼鏡をかけている、髪の毛は薄い、顎ひげがあった。

という具合に、その人の顔の特徴をとらえることは出来ます。

しかし名前となると、急に頼りなくなる。加藤だったか、古藤だったか。

顔には人それぞれの特徴があるので、記憶に残りやすいのでしょう。

口元も特徴の現れやすい場所、治せるものなら治した方が良い。

【初診】

13才 女性

いくつかの検査資料がありますが、最も重要なのが頭部エックス線規格写真です。

レントゲン写真はただの白黒の画像です。それを読み解く能力が術者に備...

2019/08/26

次の2枚の写真は同じ症例です。

混合歯列期と永久歯列期に撮影したものです。

(混合歯列:乳歯と永久歯の混合)

前歯の凸凹がどうなったか見比べて下さい。 

7才                    12才

前歯の凸凹の程度が少なくなりました。 

さて、ここで問題です。

私は何をしたでしょうか。答えは後ほど。

症例の全体像を見てみましょう。


【初診時】

7才 男子

検査資料を分析して診断をたてます。

前歯に不良な接触があり、下顎の一本の歯が動揺していました。その歯の歯肉は退縮しています。

第一段階の目的は、この機能的障害を除去することです。

【機能的障害の除去...

2019/07/29

私が矯正治療について考えるときは、歯と顎を分けて考えます。

例えば、成人で歯列に凸凹がある症例といっても、以下に示すように上下顎の関係性は様々です。

①上下顎の前後関係が上顎前突傾向のもの

②上下顎の前後関係が反対咬合傾向のもの

③上下顎の前後関係が正常なもの

③上下顎が共に突出しているもの

④上下顎の垂直的関係が接近しているもの

⑤上下顎の垂直的関係が離れているもの

⑥その他

ざっと考えてもこれだけあります。

当然のことながら、治療方法はそれぞれ変える必要があります。

単に歯列の凸凹を解消するのみならず、上下顎の関係、顎顔面全体への配慮が求められます。...

2019/06/03

年齢が上がると歯の移動速度が遅いとか、治療期間が長くかかるとか、

そんなことはありません。とくに矯正治療が難かしくなるわけではありません。

ただ、差し歯やブリッジなどの補綴物(ほてつぶつ)があったり、歯周病になっている場合は、そちらへの対応が必要になることはあります。

私は基本的に年齢制限はないと考えています。

今回は、歯周病、補綴物、欠損歯という条件のある症例です。

【初診時】

女性 

人間は一人ひとり違うように、同じ診断はなく、治療方針も個々の症例で違います。

歯周病、補綴物、欠損部位などの条件をふまえて、その時点での最善の方法を考えます。

歯列...

2019/05/27

歯を抜く矯正治療、歯を抜かない矯正治療。

そもそも抜く抜かないはどのようにして決めるのか、説明します。

診断には精確な検査資料が必要です。

例えば、頭部エックス線規格写真(横顔のレントゲン)の撮影時に0. 数ミリでも咬み合わせにずれがあっては、そのレントゲン写真は使えません。石膏模型では、歯は当然として、顎の隅々まで精確に解剖学的構造が再現されている必要があります。当然レントゲン写真と石膏模型の咬み合わせは同じであるはずです。一般診査では症例の特徴を把握します。

頭部X線規格写真を分析する(セファロ分析)。

①レントゲン写真にトレーシングペー...

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