92話 何もしない勇気
今回の症例は矯正相談をした後、すぐには治療せず「観察」にしました。 矯正治療は適切な時期に適切な治療をするのがベストであり、そのタイミングを見極めるためには待つことも重要です。ただし、自分で判断せず矯正歯科に明るい歯科医師に相談して下さい。 【症例1】 3才 男子...
91話 子どもへの負担は少ないほうがいい
子どもの歯列に凸凹があっても、すぐに治療しない場合があります。 上下顎の関係に問題のない場合であって(反対咬合や上顎前突ではない)、 ①混合歯列の時点で著しい凸凹を有し、多少のスペース確保を施したとしても 意味をなさないような状況のとき。...
90話 急速拡大装置という病
「不正咬合の解決は、その原因にアプローチすることでなされる」 しかしながら、不正咬合の種類に関係なく全ての症例に対し、急速拡大装置を使用する歯科医師がいます。彼らの説明用パンフレットやホームページには、急速拡大装置で上顎を拡大にすることによる独自の考えがうたわれており、装置...
89話 歯の移動には設計図がいる
歯列の凸凹と反対咬合をあわせもつ症例です。 さっそく治療しましょう。 【初診】 16才 女性 前歯部は反対咬合です。 歯列の凸凹の程度は上顎で多く、下顎では少ない。 左右の臼歯関係も反対咬合の傾向を示すが、臼歯部の狭さは見あたらない。...
88話 歯を抜いた隙間はどう利用するのか
矯正治療の時、個々の歯があっちに行ったり、こっちに来たりと好き勝手に動いたのでは治る歯並びも治りません。そこで、移動してほしい歯と移動してほしくない歯を決めて、それぞれを制御する必要があります。いま、前者を移動部、後者を固定部と呼んでおきます。 ここで例え話をひとつ。...
87話 歯はどこに並べれば良いか
歯列の両側は頬っぺた、前方には唇がある。内側は舌です。 いづれも筋肉のかたまりであり、歯列は常に内から外からの圧力にさらされています。 これに咬合力が加わります。この様な環境にあって、歯列はなるべく居心地のいいところ、すなわち、力の中立地帯、ニュートラルゾーンに位置どりしよ...